そんなに動けるんなら、とスピルバーグが現場で「実は空手の達人」という設定を付け加えるとそれもこなし、「あと、変装の名人でもあるんだ」と言われると撮影中、自分の出番でないときにウィッグを外して別人になり切り、フォードを本気で驚かせた。が、この追加設定は映画の中でほとんどカットされてた。何やってんのスピルバーグ!
「敵はKGB」という設定は、劇中の時代設定である50年代を強く意識している。当時は東西冷戦の真っただ中。「敵は共産主義者だ」というマッカーシズムの影響で共産主義的な発言をするもの、またはリベラル寄りである、というだけで激しい弾圧を受けたり、職を失う者が生まれた(映画の中のインディと彼を守ろうとする学長のように)。
インディシリーズの敵といえばナチスがお約束だったが、50年代にナチスもないだろう、という判断をしたのはわかる。しかし、彼らがやってることはこれまでのナチスと何も変わらないので、じゃあ「敵はナチス」でもよかったんじゃない?わざわざ社会風刺を盛り込んでKGBを引っ張り出した理由がよくわからない。
そのうえ超能力、さらに「古代文明は宇宙人がもたらした」みたいな話になるのだ。これは前作までの考古学者が古代文明の秘宝の謎を解き明かす、という物語から逸脱しすぎでは? そりゃあルーカスとスピルバーグは、宇宙人がお好きかもしれないけど。
【こちらの記事も読まれています】