さらに、ネタを終えた漫才師たちへのフォローもする。超新塾には「これから仕事結構増えるんじゃないかな」と言い、マシンガンズに対しては「たぶん、平場強いやろなと思ったよ」とコメントする。いずれも、今後の彼らの仕事につながるようなひと言だっただろう。

 そしてもちろん、番組を面白く盛り上げていく。たとえば、今年の『R-1グランプリ』(フジテレビ系)でのモニターのトラブルが“やらせ疑惑”を招いたことを受け、今大会の中で何度もそれをイジった。オープニングで「(この大会は)R-1みたいにやらせではないわけですから」と言い、金属バットとマシンガンズが僅差の戦いだったことに対しては「2点差でしょ? やらせでしょ」と触れる。マシンガンズと囲碁将棋とギャロップが同点になったときには「3組が同点になるってさ、絶対にやらせだよね。わかりやす~。バレバレやん」とコメントする。

 いわば、やらせイジりが“縦軸”になっていた。ここでも、ネタや芸人の評価に結びつかないようなコメントで番組を盛り上げていくといった配慮があったのかもしれない。

 アンバサダーとは、番組の象徴とは、どういう立ち位置だったのか。松本が示したのは、審査員を務める観客のジャッジをできるだけ左右しないように、番組を盛り上げることだった。なるほど、観客審査という特徴をもつ今大会において、それはたしかに番組を象徴するような振る舞いだったのかもしれない。