松本人志「アンバサダーって何?」

 松本人志は、アンバサダーとして今大会にかかわっていた。番組のオープニングで自ら「アンバサダーって何?」とツッコんでいたけれど、番組の象徴的な存在ということだろうか。賞レース時代の『THE MANZAI』(フジテレビ系)のビートたけしが近いのかもしれない。あのときもたけしは番組の象徴的存在として出演し、審査員ではないもののMCの横にいた。

 ただ、今回の『THE SECOND』での松本の立ち回りは、『THE MANZAI』のたけし以上に抑制的だったように思う。トーナメント方式の今大会。各対戦がはじまる前に松本は東野からコメントを振られるが、そのとき松本は審査に影響することはまったく言わない。

 たとえば、初戦の金属バットとマシンガンズの対戦の前には、「武器としてはマシンガンズでしょうけど、武器ではないので。番組としてのトップバッターということもふまえ、どんな戦いになるのでしょうか。めちゃめちゃ楽しみですねぇ」と笑いも交えつつコメント。同じ大阪の吉本興業所属のギャロップとテンダラーの対戦前には、「これも熾烈だね。どっちが勝っても負けても悔しいね」と語った。

 観客の視点を左右するようなことは言わず、しかし見どころは的確に伝える。何を言っても「あの松本人志の言葉」として受け止められる立場にありながら、非常に抑制的なコメントを丁寧にしていたのが印象的だ。やはり、審査員を観客が務めていた状況、芸人の審査員以上に自分の言葉で審査が左右されやすい状況が、そんな抑制的なスタンスにつながったのだろう(ただ1点、準決勝のマシンガンズのネタ後のコメント「プロの審査員なら、ちょっと、うん……っていうところもあるかもしれない」などについては、決勝の審査に影響しなかっただろうかとは思う)。