東京や大阪で信じられないような重圧の中、死にもの狂いで芸人を続けるより、地方で顔を差されながら、ストレスを感じない程度の適度な仕事をこなし、生活するには十分な稼ぎを手に入れ、しかも「地方漫才師」の賞を手に入れたことにより、たまにお呼ばれして東京や大阪で仕事をする。芸人としてのプライドもそれなりに保たれ、最高じゃないか。

 テレビにこだわらないタレントさんが増える今のお笑い界、東京や大阪にこだわる理由もない。地方にいて地方で活躍するのは、今の時代にマッチした芸人の働き方だと言える。

 しかもこの「地方漫才師」への賞は、間違いなくその漫才師が住んでいる地方を元気にすることが出来る材料であり、地方自体の活性化も可能だ。そんなところまで考え抜いて追加された賞だとしたら、この賞を考えた人は本当に凄い人で、ぜひ追加するべき賞である。

 常に進化し続け、先見の明を具現化してきた「M-1グランプリ」らしい、時代を見据えた賞の追加は、本当に天晴だ。これが、ただの考えすぎでないことを願って、年末の決勝戦を今から楽しみに待つことにしよう。早く来ないかな~12月。