会見に出席していたオズワルドの伊藤さんは「地方漫才師に対する侮辱だから。お前らはストレートで来ないだろって」と冗談交じりのツッコミを入れ、前年度の王者ウエストランドの井口さんは「どこまでを地方とするとかも。大阪は違うんでしょ?」と、井口さんらしい切り口のツッコミを入れた。さらに司会の川島さんも「これは燃えそうな匂いがしますね」と、賞の内容に対してあまり良い反応を見せておらず、この賞の追加には疑問の声が多そうだ。
しかし僕は、この賞、特に地方漫才師へ対する賞が追加されることは、芸人にとってのチャンスが増えるので良い事なのではと思ってしまう。確かに地方の漫才師を区別することにより、地方の漫才師は端から優勝しないと言われているようで、侮辱に捉えられてしまうところもあるが、逆に地方には地方のコミュニティがあって、わざわざ東京や大阪で活躍しなくても十分に仕事はあるし、なんだったら普通のサラリーマンより稼ぐことが出来る。
全国区のテレビ出演を目指して売れない芸人生活を続けるより、地方局で活躍している方が何倍も芸人として幸せで、何倍もチヤホヤされるのだ。そんな地方で活動している芸人にとって、この「地方漫才師」への賞は優勝に匹敵する賞であり、自分たちのバリューを高めてくれる最高の賞なのだ。
地方漫才師を侮辱しているという考え方は、現在成功している芸人さんたちの考え方であり、地方をチャンスとして見ていない証拠だ。いま東京や大阪で芸人をしているが、にっちもさっちもいっていない、いわゆる売れていない芸人たちは直ちに地方へ移住した方が良い。そして地方から「M-1グランプリ」へ出場し、この賞を目指す。「優勝」よりハードルが低い「地方漫才師」賞を手に入れることが出来れば、地方での地位が確立され、地方芸人として安泰だ。