そこで中央大学の研究グループは、容易に入手可能なブタのアルブミンをイヌに投与できないかを研究した。

 しかし、ブタのアルブミンはイヌにとって異種タンパク質のため、抗体が産生され、再投与された際に副作用を起こす危険性がある。それを回避する方法としては、タンパク質の表面にポリエチレングリコール(PEG)という合成高分子を結合し、抗体が産生されないようにする技術がある。

 ただ、PEGは生体適合性に優れた水溶性高分子だが、近年、PEGを結合した酵素を投与した患者の体内で、PEGに対する抗体(抗PEG抗体)が産生されることがわかってきた。抗PEG抗体が存在すると、投与されたPEG結合製剤は速やかに体外へ排出されてしまう。

 そこで、研究グループはブタのアルブミンの表面にポリオキサゾリンという合成高分子を結合することで、「ポリオキサゾリン結合ブタアルブミン」を合成、それがイヌに投与可能な人工血漿になることを明らかにした。