そもそも「マシンガンズ」さんはボケとツッコミに分かれておらず、基本的な漫才の定義からは外れている。しかし、この方式は大阪でもやっている人が多く、僕が芸人をやっていた頃では「ハリガネロック」さんなどがこの方式の代名詞的な存在だった。なので漫才の本場大阪でもこのシステム自体に疑問を抱く人はおらず、ボケとツッコミが基本となる漫才でなくとも受け入れられるのだろう。

 なのでこの実際に紙を使うという手法も元々他の漫才師がやっていて大阪でも当たり前の光景ならば「プロの審査員ならマイナス」という評価もなかったかもしれない。ちなみにお客さんはこのネタを面白いと評価しており、ファイナルグランプリにおける最高得点をマークしている。さらに強敵である「三四郎」さんにも勝利しており、十分笑いが起こせる上に、紙が気になって笑えないという人がほとんどいないということなのだ。

 そもそも「面白ければなんでもあり」というお笑い界の根本的ルールがある限り、漫才で紙を使用したという些末な事でマイナスにするのは僕としては違う気がしてしまう。

 さらに言わせてもらうと漫才だから小道具を使用してはいけないというのなら、漫才の中4分程度をオチで笑いを爆発させるために使い、あえて笑いを起こさなかった「ギャロップ」さんの決勝ネタの方が僕としては漫才らしくないと思ってしまう。漫才の基本形は最初から最後まで会場にいるお客さんを笑わせるというもの。オチで大爆笑があるとしても中4分笑いが起きないというのは、漫才としては変化球。このような手法はあるにはあるのだが、間違いなく王道漫才ではない。