そんな平和な大会だったのだが、一点だけ賛否が分かれている部分がある。それは準優勝した「マシンガンズ」さんが準決勝で見せたネタだ。ヤフー知恵袋に「マシンガンズ」に対する悪口が書かれているとして、それをプリントアウトした紙を取り出し、書かれている悪口を読みながらそれに対して意見を述べていくというネタ。この実際に紙を取り出し読むという行為に対して、松本さんは「プロの審査員ならマイナスになる」といった表現をし、今大会唯一と言っていい“講評”をしたのだった。

 この意見に同調するように「小道具を出すのはどうかと思う」などという声がSNSで上がったのだが、正直僕としては先述した漫才の見せ方を変えるという手法を使っただけで何ら問題がないように思うし、他の芸人がしていない事なのでとてもオリジナリティがあり良いと思った。

 実際に紙に悪口が書いてあるかどうかなどわからず、全て「マシンガンズ」さんが考えたネタの可能性もある。しかし、紙を取り出すことにより、そのボケ達に“真実味”が帯びてくる。そうなると「マシンガンズ」さんのツッコミも一気にリアリティが出て、会場のお客さんは飽きることなく見ることができる。とても計算された良い手法だ。この手法がダメだという人の理由としては、基本的に漫才というのはマイク一本でやるというイメージが強く、小道具を使うことが卑怯なように感じるのだろう。

 しかし、漫才は時代と共に変化しており、今は多種多様な形が存在する。アドリブのように聞こえるオーソドックスな漫才もあれば、一言一句決まっているお芝居のような漫才もある。人数も2人ではなく「超新塾」さんのように5人でやる漫才もある。もはや現代のお笑い界では漫才の形などあってないようなものなのだ。