教師たちが依里にいじめの件を問いただすと、湊にはいじめられてない、けれど保利先生はいつも湊を殴っているというので教師たちは混乱する。

 保護者会の席上で保利は謝罪し、学校を追われることに。そしてある嵐の朝、マンションに雨でずぶぬれになった保利がやってくる。

「麦野! ごめんな。先生間違ってたよ!」

 だが家には湊の姿はなく……。

と、ここまでが第一部だ。一部では学校内の暴力、いじめの問題を早織の視点から語られる。二部では教師の保利からの視点、そして三部では湊の視点から物語が語れる。

 同じ事柄でも見る者が変わることで、異なる意見になるというスタイルは芥川龍之介の『藪の中』的だ。