──歴史エッセイスト・堀江宏樹が国民的番組・NHK「大河ドラマ」(など)に登場した人や事件をテーマに、ドラマと史実の交差点を探るべく自由勝手に考察していく! 前回はコチラ

 『どうする家康』第23回「瀬名、覚醒」は、ドラマの家康一家の絆がもはや失われてしまっていることが露呈した回だったと思います。このドラマでは一貫して「悪女ではない」とされてきた瀬名(有村架純さん)ですが、息子・信康(細田佳央太さん)を守るため、もしくは、夫・家康(松本潤さん)に平和の重要性を訴えるため、大きく変貌していく予感がします。

 NHK総合では『どうする家康 虎の巻』というミニ番組が放送されていますが、その第5回「瀬名 悪女伝説!?」の内容を思い出しました。『どうする家康』の時代考証担当のひとりである歴史学者の平山優氏が、北条政子を例に挙げながら、日本の歴史上「悪女」と呼ばれる女性には「当時の政治に非常に大きく関わって、多くの人たちに影響を与えた」という共通点があると指摘し、そういう女性が「出しゃばり」だと捉えられ、「悪女」の汚名を着せられることになったのではと説明していました。さらに番組では、政子などと同様に「悪女」築山殿についても「徳川家の政治に大きく関わっていたと考えられています」と説明していたのです。