この段になってスピルバーグが、インディの父ヘンリー・ジョーンズ・シニアを登場させるアイデアを思いつく。長い間確執のあった父子が冒険を通じて和解するというストーリーだ。

 スピルバーグ自身、両親の離婚を経験している。大声で怒鳴りあう両親の姿を見て「宇宙人がやってきて二人を仲直りさせてくれますように」と祈ったともいわれているスピルバーグの思想が、父親が家族を放り出してUFOに乗って宇宙に旅立つ『未知との遭遇』、両親が離婚寸前の家庭で子供が宇宙から来た生物を悪い大人から守ろうとする『E.T.』に反映されているように、父と子の和解の物語はスピルバーグにとって他人事ではないのだ。

 ただそれだけではスピルバーグのプライベートな話になってしまうため、ルーカスは話の中心に聖杯探索を盛り込むことにする。スピルバーグのプライベートな話、ルーカスのエンターテイメント要素、二つが化学反応を起こした脚本が完成する。

 キャスティングでは、シニア役にショーン・コネリーが選ばれた。