この調子で第2回(5月25日)の放送ではSNSで勝って偉くなるためのハックが紹介されていたのだが、なんだか不穏な雰囲気がしはじめる。いや、不穏な雰囲気は第1回からしていたのだが。そして第3回(6月1日)、集合的無意識を扱った放送でさらにその不穏さは色濃くなり、実はこの世界は「No Eyes」なる者たちにより牛耳られているのだ、私たちは目覚めなければならない、みたいな“陰謀論”めいた話も出てくる。
と、最初はビジネス系ハックを皮肉る番組に見えていたものが、放送されるたびにヤバくなり“陰謀論”に徐々にスライドしていく。ある1点を押さえれば世界のすべてが見通せる、コントロールできるとする点で、ビジネス系ハックも“陰謀論”もどちらも同じような構造をしているということか。
いずれにせよ、番組の仕掛けについて製作側から特に解説もされない。なので、見る人が見たら勘違いしてしまうかもしれない、というような先回りした心配を見る側はしてしまう。このまま放送されるとどうなるのか――という展開のなか、第4回目の放送を前に番組からアナウンスされたのは「放送休止」である。さらに、その翌週の放送も休止となった。
もしかして、その内容のヤバさゆえに全6回予定の放送が途中で差し止められたのか? そんな憶測も飛ぶなか、16日にある動画がネット配信される。動画のタイトルは「検証」。そこに映し出されたのは「SIX HACKがなぜあのようなかたちになったのかインタビューと再現ドラマを通して検証しご説明します」の文字。「なぜ極めて偏った思想の番組が放送されてしまったのか」「なぜ誰も止めることができなかったのか」が検証されていく。その内容については、これはちょっと詳しく書けない。TVerやYouTube、Paraviで公式に配信されているので、それを見ていただきたいと思う。
おそらく、放送休止まで含めて演出だったのだろう。もちろん、この記事執筆時点(6月19日)では製作側から“種明かし”は特に何も出ていないので、本当のところはよくわからない。というか、この番組の構造上、出ている映像が説明のすべてということなのではないか。