が、いつしか映像が切り替わる。有田の反論が熱を帯びる。その目線の先には誰もいない。ヒコロヒーがさらに問い詰める。その先にも誰もいない。有田とヒコロヒーは別々に収録しており、それをつなぎあわせてあたかも対話しているように見せていたのだ。映像の“改ざん”が争われていたこの映像自体が“改ざん”されていたのだ。

 最後に有田がテレビのこちらに語りかける。

「いまの時代、何が真実か見極めるのは非常に難しくなっています。明日は我が身かもしれません」

 ヒコロヒーも言う。

「みなさんも改ざんや捏造にはくれぐれもお気をつけください」

 テレビの「編集次第」なところを使ったさすがな仕掛け。面白かった。――が、本当に有田とヒコロヒーの収録は別々だったのか。逆に、あたかも別々に収録したかのように編集しているのではないか。テレビ越しには、その答えも最終的にはわからない。