髙橋「たまたまそんな作品が重なっただけですが、主人公のもがき続ける姿が僕自身、好きなんでしょうね。『渇水』の原作小説はバブル期に発表されたこともあって、悲劇的な結末が胸に刺さる作品でした。でも、僕自身に幼い娘がいたこともあって、希望が感じられるラストに変えさせてもらいました。『愛のこむらがえり』も残酷なままではなく、観ている方たちが明るい気持ちで帰ることができるようなラストにしています。僕自身が、きっとそうなることを望んでいるんだと思います(笑)」

 厳しい現実に触れながらも、浩平と香織は自分たちの理想の映画づくりに突き進む。おそらくこの映画が完成しても、2人が経済的な成功を収めることは難しいだろう。だが、映画の世界に生きる喜びを見出した2人は、自分たちの映画をつくることで一生分の幸せを手に入れる。映画『愛のこむらがえり』には、映画業界で生きる人たちが味わうシビアさと多幸感との両面が描かれている。

『愛のこむらがえり』
原作/加藤正人、安倍照雄 脚本/加藤正人、安倍照雄、三嶋龍朗 監督/髙橋正弥
出演/磯山さやか、吉橋航也、篠井英介、菜葉菜、京野ことみ、しゅはまはるみ、和田雅成、伊藤武雄、小西貴大、前迫莉亜、藤丸千、川村那月、浅田美代子、菅原大吉、品川徹、吉行和子、柄本明
配給/プラントンフィルムズエンタテインメント 6月23日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、青梅シネマネコ、あつきぎのえいがかんkiki、6月30日(土)よりシネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸、アップリンク京都ほか全国順次公開
©『愛のこむらがえり』フィルムパートナーズ
aikomu-movie.com

『渇水』
原作/河林満 監督/髙橋正弥 脚本/及川章太郎
出演/生田斗真、門脇麦、磯村勇斗、山﨑七海、柚穂、宮藤官九郎、宮世琉弥、吉澤健、池田成志、篠原篤、柴田理恵、森下能幸、田中要次、大鶴義丹、尾野真千子
配給/KADOKAWA 6月2日より全国公開中
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