ウクライナ侵攻直前の2022年1月には、ロシアの外務次官がキューバやベネズエラにロシア軍の基地を設置すると語り、ウクライナ侵攻の可能性を声高に訴えていた米国の気勢を制する動きを見せていた。それ以前も、ロシア軍はベネズエラやニカラグアにたびたび使節団を派遣しており、米国の情報機関が目を光らせていた。

 そのロシアに次いで中国が、ラテンアメリカで軍事面での影響力を示そうとし始めた。ウォール・ストリート・ジャーナルの2つの特ダネは、その流れを伝える記事だ。

 中国軍は2030年までに、5カ所の海外基地、10カ所の後方支援基地を設置するという計画を立てている。「プロジェクト141」と呼ばれ、すでにアフリカのジブチに人民解放軍の基地がある。

 今回のキューバでの動きも「プロジェクト141」の一環といわれ、西半球では初めての具体的な動きだ。米国にとっての中国の脅威は、もはや経済分野を超え、軍事面でも米国の膝元にまで迫ってきた。