これに先立つ6月8日、ウォール・ストリート・ジャーナルは、米国の電子情報を傍受するための施設を中国がキューバに設置することで、中国とキューバが秘密裏に合意していると報じた。この盗聴施設が設置されれば、中国軍が米南東部全域での電子通信を傍受し、船舶、航空機を監視することが可能になるという。 中国が施設設置の見返りに、数十億ドル規模の施設使用料をキューバ側に支払うことでも合意に達しているという。

 このニュースが報じられた後、米国務省報道官は「正確ではない。中国とキューバがいかなる種類のスパイ基地をキューバに開発しているかについては認識していない」と語り、報道内容に疑念を呈する形で事実上、否定した。

 ところが2日後、ホワイトハウスは機密事項を解除する形で、この報道を認めた。中国の盗聴施設が2019年からキューバに存在しているという。米議会も、この報道とその後の動きに敏感に反応し、共和党を中心に「バイデン政権は中国のスパイ施設がキューバにあることを知りながら、何もしなかったのか」との批判が強まっている。

 キューバを含め中南米の反米政権は、冷戦時代の流れからロシアとのつながりが強い。「米国の裏庭」から米国をけん制するというやり方はロシアの「お家芸」である。