◆「トリプル・チャレンジ」のスケール感

脚本家の金子ありささん
脚本家の金子ありささん
――本作は、TBS「金曜ドラマ」枠で、毎週金曜日よる10時に放送されています。金子さんが同放送枠で脚本を担当するのは、中谷美紀さん主演の『私 結婚できないんじゃくて、しないんです』(2016年)以来です。7年ぶりに脚本を書いてどうでしたか?

金子ありさ(以下、金子):TBSドラマは、放送枠の特性がはっきりしています。今回の製作チームは、『恋はつづくよどこまでも』(2020年)と同じですが、金曜10時に枠を変え宮﨑真佐子プロデューサーの「絶対にこれをやりたいんだ!」という覚悟を感じ、脚本家として大冒険をする気分でした。

 と言うのも、今回は山田裕貴さんが民放GP帯の連続ドラマ初主演ですし、加えて大胆な物語設定や挑戦的なキャラクターです。まさにトリプル・チャレンジでした。

――本作で描かれる未来世界に広がるサバイバル空間は、日本のテレビドラマとしてものすごいスケール感だと思います。この壮大な物語をどのように構想していきましたか?

金子:まずはどこまで実現が可能か考えました。荒廃した未来は、実際にロケをやるのか、あるいはオープンセット(野外の撮影セット)ならどうするのか。現実との兼ね合いです。クリストファー・ノーラン監督の『インターステラー』(2014年)のような規模では再現できませんから、車両をセットにした人間ドラマをやろうと考えました。それなら洞窟探検をしたり、地下から秘密基地が発見されずともSF要素のある物語が成立するからです。

 あとはそこからの逆算です。会話劇を活かしながら、未来星人や宇宙人と遭遇するわけではない人間ドラマに主軸を置く。しかもほぼオールロケ(野外撮影)に見えるもの。地上波ドラマの壁との戦いですが、宮﨑プロデューサーは腹が座った方なので、これだけの事ができたんだと思います。