話題の新人監督シャーロット・ウェルズの長編初監督作品は、父と娘の物語。

 ウェルズは、短編作品『Tuesday』(2015)でも父親の幻影を描いており、本作にもいくらかの共通点を感じられる。それは、監督自身が10代の頃に父親を亡くしていることが大きく関わっている。自分自身の体験談や当時感じたことを物語として反映させているのだ。

 だからこそウェルズの作品は、父親へ想いというのが、作家性と直接的につながっている。長編デビュー作が父と娘の物語というのは、必然だったといえるだろう。

 また物語に説得力を持たせているのは、今作で父親のカラムを演じ、アカデミー賞ほか数々の映画賞で話題になったポール・メスカルの存在が大きいといえる。