合唱サークルの発表会、ルビーはマイルズと二人で「あいのうた」を歌う。会場にはルビーの家族もいて、彼女を歌を聴いている……といっても家族にはルビーの歌声は聴こえない。いくらルビーに歌の才能があると言われても、その「才能」のあるなしがわからないのだ。

 だがその時、父親のフランクには、聴こえないはずのルビーの歌が「聴こえる」。ルビーの歌がどんなに美しく、人の心を揺り動かすのかがわかるのだ。このシーンはぜひ、金ローの放送で確かめて欲しい。

 聾唖者の家族内でただひとり、声が聞こえる存在だったルビーは耳が聞こえる人、聴こえない人、両方の部分を見て育ってきた。「聞こえないから」だめだ、「聞こえるから」いいんだ、なんていう風に決めつけないでくれと。

 聾唖者俳優だから、健常者俳優だから、なんて決めつけもよくないのだろう。リメイクだから、オリジナルだから、なんていうのも些細なことだ。人生はこうだ、映画はこうだ、なんて言わないでくれ!

 はっ、コーダってそういう意味だったのか!?