有名無実化するのか、日本の防衛装備移転3原則
しかし、TNTの提供は155ミリ砲弾そのもののウクライナへの提供ではないとはいえ、武器輸出を厳しく制限する日本の防衛装備移転3原則に抵触しないのだろうか?
輸出を管理する経済産業省はロイターの取材に対し、「火薬類は必ずしも3原則の対象にならない。外為法(外国為替及び外国貿易法)に基づき審査し、問題がなければ輸出を許可する。一般に入手可能な火薬であれば、用途が砲弾であっても民生用として審査し、案件ごとに精査する」と回答している。これが屁理屈に聞こえるのは筆者だけなのだろうか?
岸田首相は今年3月26日の防衛大学校(神奈川県横須賀市)の卒業式で訓示し、「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」と述べ、強い危機感を示すと同時に防衛力強化の必要性を訴えた。
ロシアの理不尽な侵略により苦しむウクライナに対し、日本はできうる限り、最大限の支援をすべきだ。しかし、ショック・ドクトリン(惨事便乗型資本主義)ではないが、ウクライナ戦争という大惨事を隠れ蓑に、防衛費増額を含めさまざまなことが国会での十分な審議もないままに既成事実化されてはいないだろうか? 防衛装備移転3原則も知らぬ間に、有名無実化されてしまうような気がしてならない。