前のめりにNATOに傾斜する日本

 今月12日からドイツで始まった北大西洋条約機構(NATO)加盟国など25カ国の空軍が参加する大規模な合同演習「エアディフェンダー」には、日本の航空自衛隊がオブザーバーとして参加している。

 また、岸田首相は7月11、12の両日、バルト3国のリトアニアの首都ビリニュスで開かれるNATO首脳会議へ出席すべく調整を進めている。昨年6月29日、岸田首相はスペインのマドリードで開かれたNATO首脳会議に日本の首相として初めて参加しているので、実現すれば2年連続の出席となる。

 フランスのマクロン大統領が中国を刺激することへの懸念から反対するNATOの東京事務所開設も現在、NATO側と日本政府との調整が進められている。

 ここまでNATOに急接近し連携強化を図るのは、日本から8000キロも離れたウクライナへの支援だけが目的ではない。もしロシアが2014年のクリミア併合に続き、今度のウクライナ戦争でも勝利したりすれば、中国による台湾侵攻の動きを勢いづかせかねないからだ。その危惧があればこそ、日本はNATOを通してのウクライナ支援にも積極的になる。一方でNATOも中国の影響力拡大には警戒を強めており、インド太平洋地域の安定確保のためには日本の力はぜひ借りたいところだ。