シュレイダー「あのアイデアは、僕が監督した『キャット・ピープル』(82)のプロダクションデザイナーをヒントにしたんだ。彼はすごく美意識の強いデザイナーで、彼が泊まっているホテルの部屋を訪ねると、部屋中の家具という家具をすべてシーツで覆っていたんだ。『なんでこんなことをするんだ?』と尋ねたところ、彼は『部屋のインテリアがきれいじゃなかったから。僕はしばらくここで暮らさなくちゃいけない。だから美しくないものは見たくないんだ』と明かしてくれた。そのことを思い出して、ウィルなら同じようなことをやるだろうなと考えたんだ。ただし、そのデザイナーは気に入らないホテルのときだけシーツで覆い、気に入ったホテルのときは普通にしていたけどね」
ギャンブルの世界でウィルは大儲けは考えず、大負けしないスタイルを当初は貫こうとしていた。ハリウッドではシナリオライターとして超ビッグネームだが、近年のシュレイダー監督は予算規模の大きくないインディペンデント映画で成功を収めている。映画の主人公とシュレイダー監督自身が重なるものを感じさせる。
シュレイダー「もちろん、そのとおりだ。僕の場合は脚本も書き、監督もするわけだから、映画の中の登場キャラクターに否応なく自分が重なってくるんだ。自分が『これは奇妙だな』と感じるような逸話や、自分自身にとって特別なものを物語として書き上げ、お金を集め、映画にしているんだ。主人公はどうしても自分自身と重なると言っていいだろうね」
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