ポール・シュレイダー作品らしく、本作の主人公であるウィリアム・テル(オスカー・アイザック)は強い強迫観念に囚われている。イラク戦争に従軍し、悪名高き「アブグレイブ刑務所」で捕虜兵の拷問に関わった。上官の命令に従っただけだが、米国に帰還したウィルはその罪を問われ、軍刑務所に8年間収容された。
誰にも会わず、規則正しい軍刑務所での生活は、ウィルにとってはむしろ快適だった。余りある時間を使い、カードテクニックをウィルは覚えた。釈放後のウィルはギャンブラーとして生きることに。目立たず、小さくコツコツと勝ち続けるのが、ウィルのモットーだった。
ホテルを渡り歩き、全米各地のカジノを転々とするウィルの前に、ひとりの若者・カーク(タイ・シェリダン)が現れる。カークの父もウィルと同じ部隊に所属し、自殺を遂げていた。父を死に追いやった上官ジョン・ゴード(ウィレム・デフォー)に復讐しよう、そう持ち掛けるカークだった。
復讐は無益で、身の破滅を招くだけ。大人のウィルは、凶行に走ろうとするカークを思いとどまらせるために、彼をギャンブル旅行に同行させる。ギャンブルブローカーのラ・リンダ(ティファニー・ハディッシュ)の誘いに応じ、ポーカーの全国大会にも出場する。ウィル、カーク、ラ・リンダ、それぞれの人生を変える大勝負が始まる。
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