今はまだ犬と縁のない人も、いつかのために読んでほしい
──『犬々』で描かれる愛犬との日々は、まんきつさんらしいユーモアがあって笑いながら読めました。僕は犬や猫と暮らしても、動物との距離感がつかめなくて。でも『犬々』で動物のかわいさや、彼らと暮らすことの楽しさが少しわかった気がしたんです。
まんきつ:私もポテちゃんが来てからしばらくは、かわいいと思えなかったんですよ。それまで猫を飼っていたから、「犬って本当に手がかかるな……」とうんざりするところもあって。最初の数年は「家に犬がいるだけ」という感じでした。でも、ジワジワとかわいくなってきて、気づいたらとても大切な存在になっていて。
──そうだったんですね。
まんきつ:今思うと、お世話をしなくちゃいけないので、慣れるまでは「かわいい」って感じる余裕もなかったんでしょうね。動物を育てるって、わからないことがたくさんあって大変じゃないですか。インターネットを見ても、本当にいろんな意見がありますし。YouTubeには虐待まがいのことをしながら真顔で「しつけ」だと言い張る人もいます。
──ネットにはウソの情報も蔓延しているし、初めて飼う人は、何が正しいのかわからず困りますよね。
まんきつ:そうなんですよ。だから“啓蒙”なんていうと偉そうだけど、犬のことを何も知らない飼い主さんにとって、ちょっとだけ参考になるようなマンガを作りたかったんです。なんの気なしに読んでくれた人の頭の片隅に『犬々』が残って、いつかのタイミングで「そういえばなんか犬のマンガあったな」と記憶がよみがえって、またページを開いてもらえるような。だから、今はまだ犬と縁のない人にも読んでほしいですね。いつか『犬々ワンダーランド』が、犬と飼い主さんの役に立ったらうれしいです。