柳沢慎吾「朝に打ち合わせしたのよ。カット割り全部」
『アンタウォッチマン』では、いとうせいこうもVTRで出演していた。バカリズムを若手のころから注目し、自身が関係する番組などに積極的に出演させてきたいとう。そんないとうは、バカリズムの大喜利の仕方について次のように語った。
「あるとき、どういうふうに大喜利してるの? って聞いたことあるけど、升野はそれが本当の正解かどうかはちょっとわからないけど、捨てるってことを早くするって言ってましたね」
たくさん思いついた回答のなかから、捨てるものを早く選ぶ。そうすることで、よりいい回答が浮上してくる。『IPPONグランプリ』(フジテレビ系)などでも、バカリズムは自身が書いたいくつかのフリップのなかから選んでいる様子が見て取れる。何を捨て、何を残すか。バカリズムの大喜利は編集だといとうは語る。
なるほど、大喜利だけでなく、ネタにしても脚本にしても、あるいはバカリズムの人となりにしても、それが美しいまでに整理されて組み上がっているように見えるのは、多くの発想のなかから何を選ぶかというより、何を捨てるかをまずは意識した結果なのかもしれない。そういう作業のためには、まずはたくさんのアイデアが物量としてなければいけないわけなので、常人がすぐに飛びつけるような“発想法”とか“自己プロデュース術”とかには到底ならないわけだけれど。
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