そんなロイのキャラクター造形、全体的なストーリー、なんの説明もなく突然発動する特殊能力など、ツッコミどころの多い作品ではあるが……それも踏まえて、やはり日本のマンガ的な感じがする作品だ。

 近年、インドでは日本のアニメ映画の公開数が増えており、今年に入ってからも『ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 冥き夕闇のスケルツォ』や『BLUE GIANT』、『すずめの戸締まり』といった日本の作品が公開され人気を得ている。また、インドのアニメ制作会社スタジオ・ドゥルガーでは「カルマチャクラ」というTYPE-MOON(『Fate』シリーズなどを手掛けるプロダクションのゲームブランド)作品を意識したようなアニメを制作しており、劇場公開を目指した長編アニメ映画を制作中だ。

 日本のアニメはもともと、インド国内でもケーブルテレビを通して観られており、『忍者ハットリくん』のインドオリジナル続編が制作されたり、現在も『おぼっちゃまくん』の新作が制作されているなど、人気は高い。ただ、それほど一般的ではなかったというか、どちらかというと“アニメは子どもが観るもの”という、かつてのアメリカに近いスタンスだった。

 それが配信サービスの普及によって、新作がダイレクトに入ってくるようになったことから、日本のアニメやマンガに世代を超えて注目が集まり出しているのだ。インドのドラマや映画の作風にもその影響が現れ始めているとしても不自然な話ではない。

 インドの映画監督ゾーヤー・アクタルがアメコミの『アーチーズ』を実写ミュージカル化しているように、日本のアニメやマンガがインドで実写化される日も、そう遠くはないのかもしれない。