かと言って、Netflixでもテルグ語やタミル語のドラマが配信されていないわけではない。ただし字幕が限られており、他国からのアクセスでは見つけづらかったり、そもそも配信自体がされていなかったりするだけに、Netflixのスタンスとしては、やはり“ヒンディー語の作品で勝負したい”と思っているように感じられる。

 以前、筆者がインタビューした『エンドロールのつづき』のパン・ナリン監督、プロデューサーのディール氏も、出資者たちから“ヒンディー語で制作するのであれば資金をもっと出すし、公開規模も大きくする”と言われたと語っていた。

 そういった言語のもどかしさはあるものの、自国ユーザーをメインとしている「ZEE5」(インドのサブスクリプション動画サービス)の配信作品と比べても、NetflixやAmazonプライムビデオで配信されているインドのオリジナルドラマの多くが、インド国内ではなく“世界”に向けたものとなっていることがわかる。

 そのため、扱うテーマには、男尊女卑やジェンダー問題、カースト差別、世代交代による結婚・恋愛観の変化、人身売買をはじめとする社会問題……などが多く、インド社会においての他国からの“負のイメージ”を払拭しようとするような、少しプロパガンダ的な作品が多いようにも感じられる。とはいえ、台湾や韓国の作品なども同じ状況であるから、それがノイズになるわけでもない。