ハルと楓の友人・伊織と美桜は、どちらも仕事で成功し、社会的に認められています。

 伊織は堂々と楓に告白し、美桜も思いのままにオトナの恋愛を愉しんでいます。

 世の中に評価されているふたりに比べ、“ちゃんとしてない”うしろめたさが、ハルと楓に二の足を踏ませるのでしょう。

 けれど、誰かがピンチに陥ったとき躊躇なく行動できるハルの凜々しさ、邪心のない優しさは、数値化できない魅力をもって人の心を揺さぶります。

 そのカッコよさと、伊織のスマートさに打ちのめされる顔、また、楓の愛らしさに身もだえする顔……くるくる変わるハルの表情を自在に使い分ける井上さんに、役者としての果てしない可能性を感じました。

 なかでも、ハルが色っぽい立花さん(岡本夏美さん)に迫られるシーンは秀逸。等身大のウブな男子そのままに、ベビーフェイスであわあわする井上さんは可愛すぎて母性本能……いや、BBA本能をズキュンと射貫かれました。