●ピュアさが枷(かせ)になっている

 ハルは亡くなった楓の母と「楓は自分が守る」と約束していました。純粋さゆえその解釈をアップデートできず、「楓を守るべき存在が、彼女の恋人になるのは許されない」と決めつけ、苦しんでいたのです。「恋人になって彼女を守ろう」と切り替えればいいだけなのに、なかなかそれができず懊悩するハル。子どものころの約束を大切に守り続ける潔癖さに、そっと方向転換の後押しをしたくなります。

●言わないで、自分の気持ちを察してほしい

 楓は子どものころからハルに好意を表明していますが、まったく伝わっていません。ハルにしても、好きじゃなきゃこんな親密な距離感はありえないよね、というくらいなのに楓は気づきません。関係を見直して静かな水面に石を投げるのは、よほど怖いのでしょう。バランスを崩すことは最大の恐怖だという思いが、ふたりを受け身にしているようです。思わず「そんなに怯えないで!」と言ってあげたくなります。