本作は物語のトーンが次々と変わるため、大人のファンタジーなのか現代社会の生きづらさを描いたリアルな物語なのか判断できないまま、話が進んでいく。そのため観ているときは気持ちが落ち着かず、観終わった後もこのドラマのことばかり考えてしまうのが『日曜の夜ぐらいは…』の困った魅力だが、このファンタジーとリアルが混ざり合った展開は岡田惠和ならではとも言える。

 1990年にデビューした岡田は、現在も多くの作品を手がけるベテラン脚本家だ。彼の作風は、『南くんの恋人』(テレビ朝日系)や『イグアナの娘』(同)といったファンタジー色の強いキャラクタードラマと、山田太一の影響を感じさせる『若者のすべて』(フジテレビ系)や『彼女たちの時代』(同)といったリアルな人間ドラマに分類される。   

『日曜の夜ぐらいは…』の第1話を観たときは、三人の女性のドラマということから、山田太一の『想い出づくり。』(TBS系)の令和版とでも言うような、シリアスな人間ドラマになるかと思った。

 だが、宝くじの当選という奇跡を確信犯的に描いた強引な展開は、岡田の代表作の朝ドラ『ちゅらさん』(NHK)のようなファンタジーテイストとなっていた。一方で、サチの父親と若葉の母親の毒親ぶりは岡田作品最大の問題作『銭ゲバ』(日本テレビ系)を彷彿とさせるものがあり、会話劇の楽しいやりとりは『ひよっこ』のようでもある。