第1話では、車椅子生活の母親・邦子(和久井映見)と団地で暮らしながら、ファミレスのアルバイトとして働くサチの姿を丁寧に描き、現代の若者の決して豊かとは言えない寂しい日常を三人の女性の視点を通して描く、リアルな群像劇に向かう気配があった本作だが、第2話では宝くじの当選というまさかの奇跡が起こり、大人のファンタジーという真逆の方向へと舵を切る。しかし、第3話では、賞金が無事振り込まれるものの、身の丈に合わない高額に戸惑う三人の姿が描かれる。

 翔子はつまらない買い物を繰り返した末に、昔の同級生から美顔器を買わされるマルチ商法にひっかかり、サチは離婚した父親の中野博嗣(尾美としのり)に、若葉は放蕩生活を送る母親のまどか(矢田亜希子)にお金を要求される。そのため、身の丈に合わないお金を貧乏人が手に入れても、身内に足を引っ張られて破滅する辛辣な話になるかと思われたが、続く第4話でサチは博嗣に3万円渡すが、宝くじのことはなんとかバレずにやり過ごす。若葉も事前に準備していた(宝くじの当選金の入っていない)銀行通帳をまどかに渡すことで、全額奪われることはなんとか回避する。

 その後、三人はお金を有効に使うためにカフェの共同経営に向けて動き出すのだが、第5~6話はこれまでの展開と比べると穏やかな物語となっている。

 三人の他にも、ラジオのバスツアーの世話役を務めていて三人を優しく見守っていたサラリーマンの市川みね(岡山天音)と、カフェ・プロデュース会社をマネジメントする住田賢太(川村壱馬)もカフェ経営に加わるようになり、序盤に比べると物語は賑やかで楽しいものへと変わっていく。普通のドラマならこれで一安心だが、お金をせびる毒親二人の問題はまだ片付いていないし、カフェの経営も簡単にうまくいくとは思えない。