ちなみに今回のように芸人が怒るのではなく、ファンが芸人を怒ることもあった。これも「シアターD」で起こった事件なのだが、女子高生に絶大なる人気を誇る若手イケメンコンビがいた。そのイケメンコンビが出演するライブには必ずファンの女子高生たちが最前列に陣取り、ネタ中にトイレに行ったり、舞台をテーブル代わりにしたり、まあまあの音量で私語をするのが当たり前になっていた。

 ある日、僕らがそのイケメンコンビと一緒のライブに出演することになったのだ。噂には聞いていたのだが、実際にその光景を目の前にするとかなりの衝撃だった。僕は、とりあえず漫才中は最前列を睨みつけ、舞台に置いてある飲み物を蹴散らし、私語を注意し、見事その女子高生たちに嫌われた。

 そして、問題はライブのエンディングで起こったのだ。ある芸人が一発ギャグを披露し、MCの芸人が「他に一発ギャグやりたい人いる?」と芸人たちに聞いた。するとイケメンコンビのツッコミの人が「じゃあモノマネします」と前に出たのだ。「一発ギャグの流れだったのにモノマネ?」と舞台上にいた全芸人が思ったのだが、いち早く当時「号泣」というコンビを組んでいた「島田秀平」さんが「いや、モノマネじゃなくて一発ギャグだから!」みたいな感じのツッコミを入れた。その瞬間、最前列にいた女子高生たちが「うるせ~よ!」「モノマネ止めんじゃね~よ!」「入ってくんなよ!」と罵声を浴びせ始めたのだ。

 島田さんはあまりにも驚き「すみません」を連呼。当事者のイケメンコンビのツッコミさんもバツが悪そうな表情を浮かべていた。しかも、後日聞いた話なのだが、島田さんが会場を出ようとエレベーターで1階まで降りると、最前列にいた女子高生たちが島田さんが出てくるのを待ち構えていたという。エレベーターを降りた瞬間に女子高生たちに取り囲まれ、先ほど同様、罵声を浴びせられ、、中心でひたすら謝罪したそうだ。