◆視聴率を上げるポテンシャル

 今年の大河ドラマ『どうする家康』の視聴率が伸び悩み、議論を呼んでいる。さまざまな推測がネット上を駆け巡っているのだが、原因の矛先は、あらぬ方向へ。

 なんと、本作のBL(ボーイズラブ)演出が、その要因だという意見だ。普段から、BL的な妄想には余念がない筆者だが、これはさすがに見当違いもはなはだしいと感じた。

 このBL演出が、“一部のファン”(腐女子)が支持するものという内容なのだが、これは不確かな表現ではないだろうか。BL文化が、これまで多くの腐女子の眼差しや自由で豊かな想像力によって支えられ、育まれてきたことは、事実である。でも今や、BLを語る文脈は広い。一部なんてことはなかろうに。

 例えば、KADOKAWAのBLレーベル「トゥンク」とMBSがタッグを組み、BLドラマだけを放送する「ドラマシャワー」枠の存在はどうか。2022年4月から1年限定でスタートしたが、好評につき2023年度も継続している。

 こんな画期的な放送枠を新設したことに、BLにやっと時代が追いついた感じがしたし、これは紛れもなく革新的な試みだ。だから、BL的な演出を求めるのは、「一部」では決してなく、むしろ視聴率を上げるポテンシャルですらある。