◆新名の悲痛さが極まる場面での目配せ

「本当に同僚に戻ろう」

 第6話のラスト、同じ営業部の吉野みち(奈緒)との関係性に踏ん切りをつけようと覚悟を決めた新名誠(岩田剛典)が、彼女に送った文面だ。

 夫・吉野陽一(永山瑛太)から、実は不倫していたことを唐突に告げられたみちにとっては、どん底のタイミングだった。新名のことを拒絶しておいて、いざ夫の不貞を突きつけられると、また新名に心のよりどころを見出すのは、ちょっと虫が良すぎるかな。

 第7話冒頭、新名は、みちとの思い出を頭から追い出すため、トーク履歴を削除する。手元がおぼつかないが、思い切って削除ボタンを押そうとした瞬間だった。

 トーク画面に、ある名前が。それも新名を演じる岩田にとっては、もっとも重要な固有名詞のひとつ。そう、画面にふと顔をのぞかせたのは、映画初主演作『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』(2016年)で、岩田が演じた日下部樹だ(岩ちゃんは、その後も樹という役名を何度も演じている!)。

 日下部樹と新名とのトークには、「お疲れ様でした!」とある。新名の悲痛さが極まる場面で、なんて爽やかな。こういうさりげない目配せのある演出、嫌いじゃない!