さて、電力会社の値上げ申請は認められないと思っていたが、なんのことはない、少し削っただけで経産省は通してしまった。
ふざけるなである! だが、国民もメディアも、「仕方ないよ」とあきらめ顔である。
そこで、週プレが大上段に振りかぶり、「では、原発を再稼働すればお前たち電力会社は値下げするのか」と問い詰めている。
エネルギー問題や地球温暖化問題に詳しい東北大学の明日香壽川教授は、「原発で電気代が安くなるというのは短絡的な考え方」だと否定する。
一時的にはキャッシュフローが改善するので電気代が下がることはあり得るが、「ただし、原発再稼働による値下げの効果は一過性のものであり、必ずしも大きいとはいえません。実際、東北電力は32・94%の値上げを申請していましたが、原発(女川原発2号機)の再稼働で値上げ幅を抑える効果はわずか『5%』と、同社の社長自らが説明しています」
西村経産大臣が、原発再稼働している関電と九電は値上げしていないと発言したが、「電気代は、原発再稼働の有無によって決まるような単純なものではありません」と批判する。
岸田政権は明確に原発回帰を打ち出した。そのベースになっている、「原発は安く、電力の安定供給や脱酸素に役立つ」というロジックを打ち出しているが、IEAや米国政府、調査会社や投資会社のほとんどが「原発より再エネのほうが大幅に安い」としていると明日香教授はいう。
再エネのほうは競争原理が働き、コストは安くなっているのに、原発のほうはこの10年で発電コストは約2倍になっているというのだ。
つまり、政府はごまかしの数字を持ち出して国民を欺き、原発村を維持しようとしているのだ。
原発に絶対安全などということはない。ひとたび事故が起きれば、また多くの県が何十年も放射能汚染で苦しまなくてはいけない。
原発事故は起きないではなく、絶対起きることを前提に、これからのエネルギー問題を考えるべきであること、いうまでもない。