コロナショックで激動の世界経済。毎日のニュースではさまざまな経済用語が飛び交い、経済状況の変化をより身近に感じることが増えています。そんな現況を踏まえ、ここでは、インフレ・デフレなどの基礎的な経済用語を改めて解説します。
「インフレ」「デフレ」とは
「インフレーション(インフレ)」とは物価が上がり続けて、お金の価値が下がり続けること。対して「デフレーション(デフレ)」とは、物価が下がり続けて、お金の価値が上がり続けることです。いずれもメリット・デメリットを持ち合わせています。
インフレのメリット・デメリット
インフレは、好況下でモノ・サービスに対する需要が増加し、供給を上回ることで発生します。モノの価格が上がっていくため、消費者は買い物を先延ばしにせず「安いうちに買おう」という心理が働きます。そうして消費が活発になればなるほど、企業は売上が増えるため利益の改善が見込まれ、従業員の給料も上がるなど、社会にお金が循環して景気は上昇します。
一見すればインフレは良い面ばかりのように感じますが、デメリットもあります。それは「お金の価値が下がる」ということ。
1円の価値が下がれば、例えばコツコツ貯めてきた貯蓄の価値も下がってしまうのです。例えば200万円の車を購入するために一生懸命200万円貯めたとしても、インフレによって車の値段が300万円に上がってしまえば、その車を買うことはできなくなります。これが、お金の価値が下がってしまうということです。
これをインフレリスクといい、特に現金や固定金利の定期預金、債券などはインフレリスクに弱い側面を持っているので、きちんと理解しておくことが重要です。
デフレのメリット・デメリット
デフレは、不況下でモノやサービスに対する需要が減少し、供給を下回ることで発生します。モノの価格が安くなる「デフレ」においては、消費者は「もう少し待てばさらに安くなるのではないか」「もう少しお金に余裕があるときに買おう」など、買い控えの心理が働くため、どんどんモノが売れにくくなります。
企業は売上が上がらず、「利益の減少にともなって従業員への報酬を減らす」「設備投資を抑える」などの対策をとるため社会にお金が回らなくなり、景気が悪化してしまうのです。これをデフレスパイラルと呼びます。
また、物価が下がることでお金の価値が上がります。これは、貯蓄をしている人にとっては朗報ですが、借入をしている人にとってはツラいことです。借りた当初より1円の価値が上がってしまうため、より返済に苦労することになります。
このような物価の変動を極力おさえるために、中央銀行が「公開市場操作」などの金融政策を実施するのです。物価の安定をはかり、適正に管理することが、中央銀行が金融政策を担ううえでの目的となります。