押見修造原作の同名コミックを実写映画化した『惡の華』(19)も充分にマニアックな作品だったが、井口監督自身によるオリジナル脚本の新作『異端の純愛』はいつも以上に振り切った内容となっている。井口監督がプロデューサーも兼任し、自主規制することなく、自身のフェティッシュな指向性を赤裸々に映し出した3話構成のオムニバスものだ。
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制作費・宣伝費ともにクラウドファンディングで募った『異端の純愛』は、これまでの井口昇作品を彩ってきたヒロインたちが集結している。
小さな職場で起きるパワハラを題材にした第1話「うずく影」は、『ライヴ』(14)や『キネマ純情』(16)に出演した山本愛莉。片腕の女性に高校生が想いを寄せる第2話「片腕の花」は、『片腕マシンガール』の八代みなせ。共に幼少期のトラウマに悩む恋人たちの行く末を描く第3話「バタイユの食卓」は、『楳図かずお恐怖劇場 まだらの少女』(05)と『ゾンビアス』(12)に主演した中村有沙。
他にも『スレイブメン』(17)で正義のヒーローを演じたイケメン俳優・中村優一が意外な役で出演するなど、井口監督とゆかりのあるキャストが顔をそろえた。井口監督の想いにキャストやスタッフが賛同した、井口昇ワールドの集大成的作品だと言えるだろう。