⑨左足を負傷する本郷

 第2バッタオーグとの戦いで1号は左足を負傷する。テレビ版で藤岡弘がバイクスタントの事故で左足を怪我したことからの引用。テレビ版ではこの怪我のため本郷は「海外のショッカー支部との戦いに行った」ということになり、一文字隼人、2号ライダーの登場となる。『シン・仮面ライダー』では、一文字の登場にこの交代劇がなぞらえており、芸が細かい!

⑩にせライダー

 イチローは対1号のために大量発生型相変異バッタオーグ11体を差し向ける。テレビ版、マンガ版ともに登場する「にせライダー」だ。11体(漫画版は12体)の変異バッタオーグの前に1号は苦戦するが、助けに入った2号の協力によって相手を6体にまで減らす。6体になるのはテレビ版のにせライダーが6体だったことをなぞらえている。

⑪チョウオーグ・イチロー

 イチローはバッタオーグを生み出した緑川博士の息子で、ルリ子の兄。劇中序盤では本体を表さず、ルリ子の「孵化した」というセリフや名称からもわかる通り、蝶とのオーグメンテーション手術で誕生した「仮面ライダー0号」。0号という名称はテレビ版『仮面ライダー』のプロデューサー、平山亨の短編「二人ライダー・秘話」で本郷以前にライダーとして改造手術を受けたが、実験に耐えられず死亡した被験者が0号だ。

 蛹から蝶になるというモチーフは、石ノ森作品の『イナズマン』からの流用。ベルトは二つの回転部分があり、イチロー自身がベルトの開発者であり、チョウオーグのベルトは1号と2号のベルトを経て完成したもので『仮面ライダーV3』のベルト、ダブルタイフーンにも見える。なぜV3なのかというと、イナズマンの初期デザイン案のひとつが、のちのV3に似ているものがあるからだ。

⑫「いつもふたりだ。ふたりでSHOCKERと戦おう!」

 本郷の魂を受け継いだ一文字は、サイクロンに乗ってひとり走り去る。この際の本郷と一文字のやり取り、そしてシーンは漫画版『仮面ライダー』の完全な再現。