⑥コウモリオーグ
第二の敵はSHOCKERの生化学主幹研究者コウモリオーグ。これはテレビ版第二話の敵がコ蝙蝠男であることからの引用だが、緑川ルリ子(浜辺美波)がビールスに感染して人質にされそうになる展開もそのまま。
最後は空を飛んで逃げようとしたところを、サイクロンで空高く舞い上がった本郷に、上空からライダーキックを決められて死亡。この展開はテレビ版第11話に登場するゲバコンドルをサイクロンで体当たりして倒した場面っぽくもある。
⑦サソリオーグ
第三の怪人、サソリオーグを演じるのはなんと長澤まさみ! 彼女は当初、発表されていたキャストに名前がなかったので劇場で驚いたが、顔の半分を覆ったマスクに鋏状の左腕を持つという外見(テレビ版の「さそり男」と同じ)も弾けている。登場シーンのトラックに「0417」というナンバーがあるのは、さそり男登場回「怪人さそり男」の放送日。
マスクのデザインモチーフは、石ノ森作品の『快傑ズバット』に登場する敵、地獄竜。
⑧ハチオーグ
西野七瀬が演じているハチオーグは、テレビ版の蜂女を想起させるキャラクターだ。人間態名はヒロミで、石ノ森のマンガ版やテレビ版にもルリ子の親友として登場する野原ひろみからの引用。
このハチオーグ・ヒロミは庵野監督の趣味が炸裂しているキャラで、やたらと尊大な態度に「あらら」といった口癖、ルリ子にサディスティックな愛情を抱いており、「絶望して泣き崩れる様が見たい!」と言いながらも彼女を、SHOCKERに連れ戻そうとする。愛しながらも憎んでいるという複雑な人物だ。ほかの怪人たちは原作・テレビ版からの要素が多めなのに、ハチオーグだけは庵野監督のオリジナル成分が多すぎでしょ!
ハチオーグがルリ子に「SHOCKERに産まれし者はSHOCKERに還れ」というが、これも同じ石ノ森作品の『人造人間キカイダー』に登場する悪役、プロフェッサー・ギルの「ダークに産まれし者はダークに還れ」からのインスパイア。
⑨一文字隼人
柄本佑演じる第2バッタオーグ・一文字隼人は、SHOCKERに改造された第1バッタオーグのバージョンアップで、本郷と違い風の力を受けなくても変身できる。これはテレビ版で本郷に変わって登場した一文字がのちに仮面ライダーの代名詞ともなる変身ポーズをとってライダーに変わるようになったことから。
本郷と対峙した一文字が「お見せしよう!」とコートの下からベルトを見せて変身するが、これもテレビ版で一文字が初めて変身ポーズを見せた時の引用。これはライダーファンには有名なネタで、テレビ版で一文字を演じた佐々木剛が撮影の際、緊張からか、変身ポーズが恥ずかしかったのか、「上着の前を開けてベルトを見せる→変身ポーズをとる」という段取りをミスって最初に変身ポーズをとってしまい、途中で気が付いて上着の前を開けてベルトを見せる、という不自然な動きに。明らかなNGテイクながら、本編にそのまま使われてしまったが『シン・仮面ライダー』では本来の変身ポーズが再現された。