◆「絶対に看護師にはならないぞ」と思っていた

――まゆんさんが看護師を目指したきっかけは何だったのでしょうか?

まゆんさん(以下、まゆん):母に「手に職をつけた方がいい」と小さい頃から言われていたのですが、小さい頃に読んだ本に、看護師の仕事が「汚い、きつい、危険(※昔言われていたいわゆる3K労働)」と書いてあったので「絶対看護師にはならないぞ」と思っていました(笑)。

元々は漫画家を目指していたのですが、中学校の進路指導の先生が「看護師から漫画家になった人がいるぞ」と言って『おたんこナース』(小学館/漫画:佐々木倫子、原案・取材:小林光恵)を渡してきたんです(※編集部注:まゆんさんは後になって、元看護師さんなのは漫画家さんでなく原案者さんだと知ったそうです)。

私は「そんなパターンはほとんどないだろう」と思ったんですけど、現実的に考えて手に職を付けた方がいいし、当時は漫画を描くための道具がすごく高価だったのでお金を貯めないといけないと思いました。職業体験で看護師を体験した上で「嫌いじゃないかも」と思ったので、看護師になってから漫画家になろうと思って進路を決めました。

「おたんこナース」
「おたんこナース (1)」(ビッグコミックス)
――最近、長年勤めていた病院を退職したことを描かれていましたが、シングルマザーとしての転職は勇気がいったのではないでしょうか。

まゆん:シングルマザーだから家から遠いところに勤められないし簡単に転職できないと思って何年も悩んでいました。でも考える余裕がなくなるくらい切羽詰まってきたので思い切って辞めました。かなり辛い環境だったので、今は他のスタッフも大勢辞めて元の職場は大変なことになっているようです。