3.子育て中の産後うつの症状

『PRIME』より引用
(画像=『PRIME』より引用)

続いて、産後うつの症状をみていきましょう。産後うつの症状には、以下のようなものがあります。

(1)気分の落ち込み

気分の落ち込みは産後うつの代表的な症状です。理由もなく涙がとめどなく溢れたり、マイナス思考になったり、”悲しさ”に支配されてしまうこともあるようです。

(2)無力感や自己否定感

産後うつになると、自分や自分の育児に対する否定感を強く感じることもあるようです。「私は何もかもがうまくいかない!」、「自分の努力が足りないから、赤ちゃんが泣き止まないんだ。」など、強い自己否定を感じることもあるでしょう。

また、「もう育児なんてしたくない…。」「子どもが可愛いと思えない。」など、無気力感に襲われる人もいるようです。

(3)睡眠障害

産後うつになると、眠れない、眠りが浅い、夜中に何度も目が覚めるなどの睡眠障害が現れることもあります。「疲れているのに眠れない…。」この症状は非常に辛く、産後うつをさらに加速させることにも繋がります。

(4)食欲不振や過食

産後うつになると、食欲がなくなったり、逆に過剰に食べるようになるなど、摂食障害が現れるケースもあるようです。

(5)不安感や恐怖感

「何か良くないことが起こるのではないか?」という不安感や、「自分や赤ちゃんが危険にさらされるのでは!?」という恐怖感を抱くこともあります。「朝起きたら赤ちゃんが死んでいたらどうしよう…。」など、強い不安感に襲われ、動悸息切れを感じることもるようです。

産後うつには様々な症状があることが分かりましたね。「自分も産後うつなのかな…?」と心配になった方は、次でご紹介する”産後うつチェックリスト”を試してみて下さいね。

4.産後うつの体験談【インタビュー】

実際に産後うつを経験したAさんにお話を聞いてみました。

Q「産後うつになった時の状況を教えてください。」

Aさん「私は26歳の時に初産で長女を出産しました。里帰り出産でしたが、まず、出産直後から夫と実母に嫌悪感を感じてイライラしていました。夫はとにかく私任せで、親になったような顔をしているのが気に入らなかったです。急にまわりの人が嫌いになりました。母は産前から兆候はありましたが、私のためと思ってあれこれ言ってくれることに対してストレスになっていて、きつく当たることもありました。そして、長女は30分も寝てくれない新生児期で…。一瞬眠ってくれたとしても、私まで寝たら死んでしまうんでは!?という恐怖で私はほとんど眠れず辛かったです。」

Q「手伝ってもらうことはできなかったのですか?」

Aさん「夫と実母にイライラしていたのもあって、頼りたくないという気持ちが勝っていました。私が長女で完璧主義なところがあるからか自分でしっかり育児をしたい気持ちや、できない=ダメな母親と思われる気がして1人で部屋に籠って長女と格闘していました。“私はうまくやっている”と見せたかったのかな。寝ても30分ももたなかったのでミルクも使えばよかったのかもしれないけど、“完母”の呪縛にも囚われていました。」

Q「その大変な時期はどれくらい続いたのですか?」

Aさん「24時間、1人で新生児と向き合う状態でさらに自分の睡眠不足は極限まで来ていました。授乳の疲れで肩こりや首の痛みが出てきてしまい、最終的には体験したことのないような頭痛に苦しみました。その頭痛がきっかけで、ようやく母に“病院に行きたい”とヘルプを出しました。1人で通院して、頭痛薬を服用した後は丸1日死んだように眠っていたようです。」

h4>Q「ようやく熟睡できたんですね。その後は、少しは育児の仕方など緩和されたのでしょうか?」

Aさん「結局、その後もあまり周囲に頼れず1人で長女のお世話をしていました。でも、頭痛から回復した時に母がミルクをあげていて、すやすやと寝ていた長女を見て無理せずに今後はミルクも使おうという気持ちにはなりました。母へのイライラも残っていて、このままだと大好きな母を嫌いになってしまいそうだと思ったので1ヶ月で自宅に帰ることを決断しました。」

『PRIME』より引用
(画像=『PRIME』より引用)

Q「ご自宅に帰ってからは、変化はありましたか?」

Aさん「少しは気が楽になりました。母に頼ったり、八つ当たりするよりも、全部夫にぶつけた方がましだと思ったんだとおもいます。あと、自宅に帰れば私と夫しかいないのでおっぱい以外のしんどい部分(夜泣きの対応など)は夫にやらせました。泣いていても意地でも手伝いませんでしたが、それもうつの一環だったのかなぁ。夫に“私の苦しみをあなたも味わえ!”みたいなのは少なからずあった気がします。」

Q「その後、どのくらいで回復されたのですか?」

「わからないけど3ヶ月目くらいから余裕も出てきて、長女も長く寝るようになって次第にもとに戻っていきました。あとから妹に、“あの時のお姉ちゃんはどう扱っていいかわからなかったよ”と言われ、野良猫の母猫って、とにかく周囲に牙をむいて威嚇していますよね?自分以外を信じられないというか、もしかすると母猫のように赤ちゃんを外敵から守る…みたいな状態だったのかもしれないなと思いました。母には悪いことをしたと今でも思っています。」

Q「Aさんは、自然と元に戻ったのですね。今産後うつに悩むママにアドバイスはありますか?」

Aさん「私の頃は、産後うつという言葉はあまり浸透しておらず、自分の性格のせいだと自分を責めていました。今となってはわかりませんが、きっとうつ状態だったんだと思います。私や身内にもその知識があって、産後うつがもっと浸透していて、気軽に病院に相談したり自治代の相談窓口を利用していればあんな思いをしなくてよかったかもしれないですね。産後うつは2人目、3人目の出産に影響を及ぼすくらい辛い経験だと思うので、しっかりと対処した方が絶対良いと思います。」

以上、Aさんのリアルな経験をご紹介しました。本人が産後うつだと自覚がないまま耐えることはとても辛い状況です。

少しでもおかしいな、辛いなと思ったら迷わず病院や相談窓口を利用しましょう。