直哉と優斗、それぞれの強さと弱さの絶妙なバランス

 最後に新展開を見せた『ペンディングトレイン』だが、第4話の中心となったのはやはり直哉と優斗の関係性だろう。

 最初は誰を信用することもなく、優斗に対しても厳しい言葉を浴びせていた直哉だったが、第3話で優斗のやさしさに触れ、リーダーシップを執る優斗のサポート的な役回りをするようになり、また米澤たちと屈託なく笑う場面もあるなど、他の乗客との関係も良好に。第4話ではネイリストの渡部玲奈(古川琴音)にせがまれる形で髪をカットし、美容師としての本領を発揮。それを見た乗客から次々にヘアカットを頼まれるなど、すっかり打ち解けていた。

 一方の優斗は、加藤の傷口の縫合を決断できなかったにもかかわらず、加藤に「命の恩人」と感謝されたことに負い目を感じる。火起こしなどに重宝していたライターのオイルも残りわずかとなり、もっと役に立ちたい。そうじゃないと俺は……」と焦る優斗は火起こしをしようとするが、うまくいかない。6号車の少年を待っている間、優斗は過去について語り始める。自身の過去を思い出す。消防士の優斗は、かつて火災現場で先輩隊員・高倉康太(前田公輝)に半身不随の重傷を負わせてしまっていた。

 直哉は「それはさ、ただの事故だろ?」「お前の仕事には付き物の、業務上の事故だろ」と慰め、紗枝も「ここではみんな白浜さんに感謝してます。一生懸命引っ張ってくれて」「白浜さんはみんなの支えだと思います」と励ますが、優斗は「俺はそんな立派じゃない」「やめてくれよ、そういうの!」と感情を爆発させる。高倉が重傷を負ったのは、優斗のミスによるものだった。それも、消火用ホースの結合をミスし、この失敗を挽回しようとした優斗が高倉の制止も効かずに扉を開け、バックドラフトを起こしたのだった。しかし高倉は優斗の無断の行動を上に報告せず、優斗はその状況に甘んじて黙ってしまった己の卑怯さを悔いていた。