◆楓を生殺しにする誠の、弱さと似たズルさ

 とはいえ、誠も5話ではズルさを見せており、あまりに冷たい態度を取り続ける誠にしびれを切らした楓は「やっぱ何かあるよね?」「あるならちゃんと言ってよ?」と激高。これに誠も「楓の俺への気持ちが見えないんだ」「俺は楓の仕事のためにいるの?」と本作で初めて厳しい言葉をぶつける。

 人の顔色を伺いがちな性格の誠から、これほどのセリフを発せられるということは、もう楓を“どうでもいい人”と認定しているからだろう。ただ、楓からの「私のこと嫌いになった? もう好きじゃない?」という問いかけには、一言「わからない」。

 7年間も夫婦関係が続いているため、簡単に「うん」「嫌いになった」とは言えない。それでも、いっそ突き放してくれれば楓も気持ちを切り替えられるが、その決断ができずに曖昧な言葉のみを発する誠には、弱さと似たズルさを感じざるを得なかった。