香取や稲垣をテレビに出そうと画策したのは松本人志だそうだ。今や「芸能界のドン」気取りの松本は、中居を抱き込み、ジャニーズ事務所に恩を売ったのではないかと見ている。

 ジャニー喜多川の少年たちへの性的虐待で追い詰められているジャニーズ事務所への風向きを逸らすために、中居と香取が6年ぶりに一緒テレビに出れば、スポーツ紙だけではなく、テレビや新聞も取り上げるはずだ。うまくすると喜多川問題がうやむやになってくれるかもしれない。そんな姑息な意図が透けて見えるのだ。

 事実、朝日新聞は5月10日付の「記者レビュー」でこれを取り上げている(喜多川の性加害には触れてはいるが)。

 しかし、そうは問屋が卸さなかった。ついにジャニーズのファンたちが声を上げ、第三者機関による検証・調査を要求した署名(1万6125筆)を事務所に提出したのだ。

 週刊文春だけなら何とでもなると考えていたジャニーズ事務所はうろたえたはずである。それが証拠に、週末に藤島ジュリー社長の謝罪を動画で公式サイトに公開したのである。

 だが、「当事者であるジャニー喜多川に確認できない中で、私どもの方から個別の告発内容について『事実』と認める、認めないと一言で言い切ることは容易ではない」といったことで、さらに批判の輪が広がってしまった。

 ジュリーの母親メリー喜多川は、ジャニー喜多川の姉である。生前、メリーは弟の少年愛について、「病気だから」といったともいわれる。ジュリーが知らなかったはずはない。

 自分は知らなかったからで押し通すのは無理がある。

 このままいけば、いまだにほとんどこの問題を扱わないテレビだが、広告主たちが汚れたスキャンダルを嫌って、ジャニーズ事務所のタレントを起用しないようになるかもしれない。

 そうなれば帝国はあっという間に崩壊する。その深刻さにジュリー社長は気がついていないのだろうか。だとしたら取り返しのつかないことになる。