これを受け、2月7日にはバイデン大統領一が般教書演説の中で、債務上限引き上げ問題で米国がデフォルトに陥る事態は招かないと強調し、議会に上限引き上げを呼び掛けた。

 下院議長に就任した共和党のケビン・マッカーシー議員は、24年の大統領選挙を控え、新型コロナウイルス対策を含め、大きく膨れ上がった歳出に対して、債務上限の引き上げと引き換えに社会保障費やメディケア給付などを含めた歳出削減を求めており、ねじれ議会の下で債務上限引き上げの大きな障害となっている。

 1月に政府の債務が上限に達したことを公表した際、イエレン長官は特別措置と財務省の手元資金、4月15日に予定される連邦税収を合わせれば、6月中旬までは債務返済や歳出を継続することができるとしていた。

 ところが、4月の連邦税収の結果をもとにイエレン財務長官が5月1日に議会に宛てた書簡では「6月初旬、早ければ6月1日」にも全ての米国政府の支払い義務を果たすことが困難になるとの具体的な見通しが示された。