◆太郎くんやまゆんさんをやさしく包み込む両親

――本書では、まゆんさんのお父さんの優しい言葉選びや気遣いに感動しました。

まゆん:父は昔からそういう人で、私が看護学校時代に実家を出ていた時はよく励ましの手紙を書いてくれました。私がものを書くのが好きなのは父譲りかもしれません。父は日記をつけるのも好きで、字が綺麗なんです。

――ご両親が太郎くんやまゆんさんをやさしく包み込むように接しているのが印象的でした。ご両親はどんな教育方針を持っていたと思いますか?

まゆん:やりたいことはやらせてくれるし、強要することが全くなかったです。宿題も勉強も「やりなさい」と言いませんでした。ダメなところを貶(けな)されることがなく、いいところばかり褒められていました。

最近、インスタグラムで私が子どもの頃バナナが食べられなかった話を描いたのですが、好き嫌いについても否定せず「バナナが嫌いなんて面白いね」と言っていました。否定しない、強要しないのがポリシーなのかもしれません。

◆普段は見守り型の母が、厳しく叱ってくれたこと

――人生の節目ではどんなアドバイスがありましたか?

まゆん:私の決断に対して、否定的な反応が全くないんです。看護学校があまりに辛くて、一度「もう辞める」と言ったことがありました。その時も両親に「そんなにきついならもういいんじゃない?」と言われて、逆に引いてしまいました(笑)。

私なりに相当な覚悟で言ったのですが、「勉強するために地元を出ているし金銭面で援助してくれているのに、どうしてこんなにあっさり『いいよ』と言えるの?」と、親の肝の座り具合に驚きました。

厳しく言われるより、本当に辞めていいのか逆に考えさせられました。それで「やっぱり辞めない」と言ったんです。親の器の大きさに救われているような気がします。

――逆に厳しく叱られたことはあるのでしょうか?

まゆん:中学生の頃、私は全然勉強していなかったんです。高校受験を前にして焦った私が「勉強にやる気が出ないから塾に行かせてほしい」と言った時は「今まで勉強しなかったのは自分の責任なのに、何甘えたことを言ってるの」と母に厳しく言われました。「本気で机に向かって、それでもできない時に塾に行きたいと言いなさい」と言われて、普段は一切「勉強しろ」と言わずに野放しにしているけど、道理がおかしいことを言うと厳しいんだなと思いました。それがきっかけでスイッチが入って、毎日勉強するようになりました。