ロバがとにかくかわいい(重要)
この映画では全部で6頭のロバを起用したそうだが、そのロバと人間の俳優の違いを語るイエジー・スコリモフスキ監督の言葉が面白い。丸ごと引用しておこう。
「監督というものは、知的な議論を投げかけ、感情的な言葉を使って、俳優が望ましい効果を発揮するように仕向けます。この作品のロバの場合、何かをするように説得する唯一の方法は優しさを示すことでした。つまり彼の耳に言葉をささやき友好的に愛撫することです。声を張り上げて焦りや緊張感を示していたら、あっという間に失敗していたでしょう」
「人間の俳優との主な違いは、ロバは演技が何であるかを知らないということです。彼らは何かのフリをすることができず、純粋に彼ら自身であり続けます。優しく思いやりがあり、相手に敬意を払い、礼儀正しく忠実であり、今この瞬間を最大限に生きています。そして決してナルシシズムを見せません。自分の役柄に想定された意図に従って仕事をし、監督のビジョンに口をはさみません。彼らは優れた俳優なのです」
人間の俳優とは演出方法は異なるものの、優しさをもって接していたら、彼らの優しさや敬意、優れた俳優でもあることがわかった、というのはなるほど動物を扱った映画における監督のアプローチとしてひとつの正解だと思えた。
【こちらの記事も読まれています】