米財務省は、こうした汚職行為が中南米で暗躍する親イランのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラと結びついていると見ており、国際的なテロとの戦いをカルテス元大統領が妨害しているとして今年1月、制裁の対象にした。

 米国としてはパラグアイの政治腐敗の一掃を望んでいるが、中国をけん制するためにも台湾派の政権は維持したい。カルテス政権で財務相を務めながら、どろどろとした政治とは縁遠いとされるペニャ氏は微妙な立ち位置でうまく舵取りができるだろうと米国は考えた。

 しかし、ペニャ氏は米国の期待を裏切った。カルテス元大統領と一線を画すどころか、当選早々、カルテス元大統領が勝利の立役者であると賞賛したのである。

 パラグアイが台湾と外交関係を結んだのは1957年。共に独裁政治家が統治している時代だった。ラテンアメリカではキューバを筆頭に共産勢力が台頭していた。米国は足元のラテンアメリカで共産主義政権が誕生することを阻止するため、各地の独裁者と手を組んだ。中国に対抗する台湾と外交関係を持つ国がラテンアメリカに多いのはこのためだ。