対する野党連合候補は中道左派で、「ピンクタイド」と呼ばれる南米での左派政権誕生の波に乗ろうとした。中国と国交がないことで主要農産品である牛肉や大豆を中国に輸出できないことに対する農家の不満を吸い上げて、中国との国交樹立を公言し、支持を急速に拡大した。
保守政治の続くパラグアイは米国にとっては友好国だ。中国がラテンアメリカで経済的影響力を強める中で重要なパートナーである。そういう意味で米国は、今回の大統領選でも単純にコロラド党のペニャ氏を支援すれば良いことなのだが、問題を複雑にしているのは、コロラド党の党首であるホラシオ・カルテス元大統領(66)の存在だ。
カルテス元大統領は銀行やタバコ会社、食品会社などを所有する実業家で、パラグアイの大富豪として知られる。政界でも影響力を誇示したいと2009年に入党。資金力にものを言わせ2013年の大統領選で当選した。ただ、その手法は強引で政治腐敗の象徴となった。
米財務省によると、カルテス元大統領は自らへの支持取り付けや政権運営を円滑にするために、政治家や役人らに広く賄賂を渡した。2013年の大統領選では多くの党員に1人当たり1万ドル(137万円)を渡し、買収した。大統領在任中も与党の国会議員に1カ月5万ドル(685万円)を個人的な手当として渡していた。
【こちらの記事も読まれています】