ところで、私も中国には何度も行ったが、いつ、どんな罪で逮捕、監禁されるかわからない怖さが常につきまとっていた。

 平成28年から6年間、身に覚えのない罪で服役し、このほど『中国拘束2779日』(毎日新聞出版)を上梓した日中青年交流協会元理事長の鈴木英司(65)が、新潮で獄中生活とチャイナリスクを語っている。

 平成28年4月15日のこと。シンポジウムの下準備で北京を訪問して帰国の日に、タクシーで北京首都国際空港に到着した途端、鈴木はいかつい男たちに囲まれて、「お前は鈴木か?」と聞かれたそうだ。鈴木が「そうだ」と答えると、ワンボックスカーに押し込められ、連れ去られたという。

 この日から24時間の監視と厳しい取り調べが続く「居住監視」と呼ばれる監禁生活が始まったそうである。

 鈴木は無罪を主張し、日本大使館の助けを期待した。だが、ほとんど役に立たなかったと鈴木はいう。

「大使館員との面会は原則1カ月に1回。それでも中国側は“忙しい”と許可しないことも多いんです。ようやく会えた大使館員に“起訴内容は絶対に認めない”と伝えたら、傍で聞いている国家安全局員から“そんなことを言うなら(面会を)中止するぞ”と脅されたこともありました」

 令和2年に懲役6年の判決が出たが、拘禁生活はすでに3年9カ月だった。その後、鈴木は刑務所に収監され、体重は30キロも減ったそうだ。

 鈴木の刑務所生活は1年11カ月に及び、居住監視から6年3カ月が経過した昨年10月、鈴木は刑期を終えて出所した。

 この記事にも、なぜ鈴木が逮捕されたのかが書いてない。ということは、はっきりした理由はないのであろう。勝手に中国側が「何々の罪」といえば、それで終わり。

 中国には今も5人の日本人が拘束されているという。